10/20-12/23
ベッドタイム・フォー・デモクラシー
港まちポットラックビルでは、昨年好評を博した「パンク!日常生活の革命 名古屋」展に続き、これからの「コミュニティ」や「民主主義」のあり方について考える展覧会「ベッドタイム・フォー・デモクラシー」展を開催します。
複雑化や不均衡が問題視される現代社会で、どのような意思決定のプロセスを経てコミュニティを形成するのか、まちづくりにおいても住民の参加型の対話やその過程が問われています。
2022年に岡山、東京を巡回した本展覧会は、アーティストによる作品やパフォーマンスの記録、ジャーナリストや哲学者の活動のドキュメント、資料など、1950年代から現在までの映像を中心に構成されます。会期中にはゲストを招いたトークなど、イベントも開催予定です。私たちのこれからの社会がどのように希望あるものになり得るのか、展覧会を通して考えます。
キュレーターズノート
アメリカのパンクロックバンド、デッドケネディーズは、アルバム『ベッドタイム・フォー・デモクラシー』のなかで「電気フェンスが必要な“祖国 ” と呼ばれる収容所」や「バビロンの蜃気楼やベルトコンベアのような肉弾戦を生きている」と叫び、民主主義と資本主義の分かち難い共犯性を歌いました。
本展に付けられたそのアルバムタイトルは、ロナルド・レーガンが主演した1951年のコメディ映画『Bedtime for Bonzo』に由来しており、レーガノミクスをはじめとして、新自由主義、戦争、メディアの氾濫、娯楽産業(余暇と消費)、マッチョイズム、そしてそれらに対する見せかけの反抗への糾弾が叫ばれます。また難民やクィアへの擁護といった、周縁への配慮も示唆します。
これらの観点を踏まえつつ10組のアーティスト、活動家、哲学者が参加する本展では、民主主義における意思決定プロセスが問いただされる現状の中、その声をかき消され、疎外された周縁の声を引照し、民主主義の政治的神話の綻びを暗示した作品群を取り上げます。また地政学的な観点から、民衆の不服従を起点とした集団の内部における権力の分散や、共有を照射した作品をとりあげ、新自由主義の諸原理が民主から奪い去った主権を、いかにして奪還できるのかを模索します。そして民主主義をどのように抵抗の政治へと変転しえるかを、作品を通して見いだします。
川上幸之介(本展キュレーター)
・レティシア・アグド|Leticia Agudo(アイルランド)
・ヌオタマ・ボドモ|Nuotama Bodomo(ガーナ)
・リジー・ボーデン|Lizzie Borden (アメリカ)
・ブレッド&パペットシアター|Bread and Puppet Theater(アメリカ)
・ナオミ・クライン|Naomi Klein(カナダ)
・マーサ・ロスラー|Martha Rosler (アメリカ)
・ヘイニー・スロール|Heiny Srour(レバノン)
・松本俊夫|Toshio Matsumoto (愛知・名古屋)
・ウィンストン・スミス|Winston Smith(アメリカ)
・ウェンディ・ブラウン|Wendy Brown(アメリカ)
開催概要
日 時| 2023/10/20(金)–12/23(土)11:00–19:00(入場は閉館30分前まで)
会 場|港まちポットラックビル3F
休館日|日・月・祝
料 金|無料
企 画|Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
主 催|港まちづくり協議会
協 賛|株式会社クラビズ
*最新情報については、ウェブサイト・SNSでお知らせします。
イベント
トークシリーズ「希求される共同性」
入場|無料
定員|各回50名(予約不要)
聞き手|川上幸之介
vol.06|12/22(金)19:00–20:30
「この世界に疲れた人たちのための政治論――芸術と学問の連帯に向けて」
藤原辰史(京都大学人文科学研究所准教授/農業史研究者)
vol.07|12/23(土)15:00–16:30
「民主主義・資本主義・ケア」
岡野八代(同志社大学教授/政治学者)
プロフィール
川上幸之介
Kounosuke Kawakami
倉敷芸術科学大学准教授/EEEプロジェクト主催/本展キュレーター
主なキュレーションに「1923」「The Third Entity」「ラディカルデモクラシー」「Punk! The Revolution of Everyday Life」「Bedtime for Democracy」「Reinventing the “F” word: feminism!」ほか。教育プロジェクトでは、ジョン・バルデッサリ、イム・ミヌク、アントン・ヴィドクル、ホー・ルイ・アン、ジェレミー・デラー、ナイーム・モハイエメンなどと協働。
藤原辰史
Tatsushi Fujihara
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。
専門は農業史、食の思想史。生態系の中に組み込まれた人間の在り方から、現代史を再構築する試みを続けている。また、新聞・雑誌のコラムの連載や、「パンデミックを生きる指針」(B面の岩波新書、2020年)や『中学生からわかるウクライナのこと』(ミシマ社、2021年)など時事問題にも積極的に発言をしている。『分解の哲学』(青土社、2019年)でサントリー学芸賞、『給食の歴史』(岩波新書、2018年)で辻静雄食文化賞、『ナチスのキッチン』(共和国、2016年)で河合隼雄学芸賞、また、ナチスの食研究全般に対して日本学術振興会賞を受賞。他にも、『食べること考えること』『食べることとはどういうことか』『植物考』など多数
チラシ
MAT Exhibition vol.13_べッドタイム・フォー・デモクラシー